IWATE CLUB CRAWLERS
VOL.01

Magazine

Reading the night of Morioka.

カレンダーやマップでは伝えきれない、この街のシーンの温度。3つのクラブ、深く根を張るレゲエ、新しい世代のヒップホップ、はじめての夜の歩き方、そして夜の言葉の手引きまで——。運営「道草ミュージック」編集部が、盛岡のナイトカルチャーを記録していく読み物です。

特集 ISSUE 01

散らばった夜を、一枚の地図に

ストーリーズの中で生まれて、24時間で消えていく盛岡のパーティー。その「知らなかった」を減らしたくて。

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ガイド ISSUE 02

はじめての盛岡クラブ、夜の歩き方

何時から?いくら?一人でも平気?——気になるけど聞けない、夜遊びデビューの基礎知識。

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クラブ ISSUE 03

三者三様 — SICKth / crates / MOTHER

数は多くない。でも一夜の濃さは負けていない。盛岡の3つの箱、それぞれの流儀。

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レゲエ ISSUE 04

実は、レゲエが根を張る街

盛岡はヒップホップだけの街じゃない。サウンドシステムとダブの低音が息づく、もうひとつの夜。

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ヒップホップ ISSUE 05

岩手のヒップホップ、その熱源

花巻から、盛岡から。マイクを握る新しい世代と、彼らを受け止めるフロアの話。

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エッセイ ISSUE 06

夜は、昼とつながっている

良い夜は、たいてい昼から始まっている。レコ屋で一枚、スケートで街を流し、馴染みの店で一杯。

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用語集 ISSUE 07

夜の言葉、少しだけ

1ドリンク制、ロングセット、セレクター、B2B……。知っておくと、夜がぐっと読みやすくなる言葉たち。

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カルチャー ISSUE 08

サウンドシステムという文化

スピーカーの壁から鳴る低音は、ただの音量じゃない。レゲエが大切にしてきた“鳴らし方”の話。

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コラム ISSUE 09

今夜、外に出る理由

スマホで何でも聴ける時代に、わざわざ街へ出る意味。画面の外側でしか起きないことについて。

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特集 | FEATURE

散らばった夜を、一枚の地図に

道草ミュージック編集部盛岡のシーンについて
盛岡の夜・ネオン
大通のどこかで、今夜も誰かが扉を開けている。

岡のパーティーは、その多くがInstagramのストーリーズの中だけで生まれて、24時間で消えていく。どれだけ良いDJが回っていても、どれだけ熱いライブがあっても、知らなければ「無かった」のと同じだ。その“知らなかった”を、この街から少しでも減らしたくて、このガイドを作った。

東京や仙台に比べれば、盛岡の箱は決して多くない。それでも、SICKthを満たす低音も、cratesで交わす一杯も、MOTHERで迎える朝も、ここにしかない温度を持っている。数が少ないからこそ、一晩の濃さは何処にも負けていない。地方の夜には、地方の夜のかっこよさがある。

フロアはいつだって、誰かが扉を開けるのを待っている。

スマホで何でも聴ける時代に、わざわざ街へ出て、知らない誰かと同じ音で揺れる意味。それはたぶん、画面の外側でしか起こらないことが、確かにあるから。同じ曲でも、あのサウンドシステムで、あの照明の下で、隣で踊る誰かと聴く一回は、二度と同じ形では戻ってこない。

このマガジンは、カレンダーやマップの「予定」では伝えきれない部分——なぜこの街の夜が面白いのか、どんな人たちが鳴らしているのか、はじめてでもどう楽しめばいいのか——を、ゆっくり言葉にしていく場所にしたい。次にフロアを沸かせる主役は、もしかしたらこれを読んでいるあなたかもしれない。

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ガイド | FIRST TIMER

はじめての盛岡クラブ、夜の歩き方

道草ミュージック編集部初心者向け
クラブの入口
「ここが入口」——最初の一歩さえ越えれば、あとは音が連れていってくれる。

になるけど、なんとなく怖い。クラブに対するその気持ちは、ほとんどの人が最初に通る場所だ。だから、はじめての盛岡の夜を少しでも軽くするために、よく聞かれることを先にまとめておく。

何時から、何時まで?

イベントのある日は22:00頃オープン〜翌朝5:00頃までが目安。とはいえ、頭から朝までいる必要はまったくない。23時すぎにふらっと入って、2〜3時間で帰る人もたくさんいる。バー営業の日は19:00頃から、チャージ無しで一杯やれる店もある。

いくらかかる?身分証は?

入場料はイベントにより無料〜数千円。多くは「+1ドリンク」制(チャージに1杯付き)だ。料金は本サイトの各イベントに書いてある。そして、お酒は20歳から。多くの店で写真付きの身分証提示を求められるので、忘れずに持っていこう。現金を用意しつつ、各店のキャッシュレス対応はSNSで確認を。

一人でも平気?服装は?

もちろん平気。むしろバー営業日やミュージックバーは一人客も多く、音楽好きと自然に交流できる。服装は基本自由——動きやすく、踊れる格好がいちばん。気負わなくていい。気になるイベントがあれば、まずは扉を開けてみることがすべての始まりだ。

最初の一歩がいちばん重い。でも、越えてしまえば二歩目はもう軽い。
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クラブ | VENUES

三者三様 — SICKth / crates / MOTHER

道草ミュージック編集部盛岡の3つの箱

岡のクラブは、この3つを軸に回っている。同じ街の、歩いて行き来できる距離にありながら、鳴っている音も、流れる時間も、まるで違う。三者三様の夜を、それぞれ紹介したい。

SICKth — 音に最適化された箱

2017年オープン。ハウス/テクノを中心としたクラブミュージックに特化し、こだわりのサウンドシステムと、どこか落ち着いた空間が共存する。低音をしっかり浴びたい夜は、まずここ。ヒップホップやレゲエの大型パーティーが組まれることも多い。

crates — 平日はBAR、週末はフロア

盛岡駅南口から徒歩約9分。イベントの無い平日はチャージ無しのBAR営業、週末はDJイベントやライブのスペースへと表情を変える。レゲエ・オールディーズの姉妹空間「STEADY」も併設。ふらっと一杯から、朝までのパーティーまで、懐が深い。

MOTHER — 大通のアート系バー

ミュージック&アートのバースペース。DJパーティーやライブ、ヒップホップ・パーティーなどが開かれる、盛岡のカルチャー拠点のひとつ。フードが主役の夜があったり、ビートライブがあったり——「箱」という言葉より「居場所」がしっくりくる。

数が少ないからこそ、一夜ごとに色が立つ。
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レゲエ | REGGAE

実は、レゲエが根を張る街

道草ミュージック編集部もうひとつの盛岡
盛岡のレゲエ・ディージェイ
セレクターが一枚を選ぶ。その手つきに、街の歴史がにじむ。

岡はヒップホップだけの街じゃない。じつは、レゲエが深く根を張っている。crates の姉妹空間 STEADY ではオールディーズとレゲエが鳴り、サウンドシステムを担ぐセレクターたちがいて、ダブの低音に身体を預ける夜がある。

キャリアを重ねたディージェイから、クルーで動く若いセレクターまで、ジャパレゲのローカルな文脈がこの街には確かに流れている。派手さより、長く愛される一曲を選ぶ——そんなレゲエの流儀が、盛岡の夜には息づいている。

大きい音で、ゆっくり効いてくる。それがこの街のレゲエの速度。

ヒップホップのパーティーにレゲエのセレクターが立つ夜もあれば、その逆もある。ジャンルの境界がゆるやかに溶けて、同じフロアで違う音が手をつなぐ。小さなシーンだからこそ起こる、贅沢な混ざり方だ。

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ヒップホップ | HIP-HOP

岩手のヒップホップ、その熱源

道草ミュージック編集部新しい世代
盛岡のヒップホップ・パーティーのフライヤー
一枚のフライヤーから、夜は始まる。

巻から、盛岡から。岩手にはマイクを握る若い世代が確かに育っている。地元の予選を勝ち上がるバトルMCもいれば、ショップやイベントを自分で立ち上げ、シーンそのものを作りにいく動きもある。

SICKth、Sound Bar HORSE、MOTHER——彼らが立つステージは、決して大きくはない。でも、その近さがいい。ステージとフロアの距離が一メートルしかないような夜に、確かな手応えが生まれる。客演で県外のアーティストを招くパーティーも増え、岩手と外がつながる回路も太くなってきた。

小さなフロアの一メートルが、いちばん熱い。

記録に残らなければ、なかったことになってしまう。だからこのマガジンは、いま鳴っている音と、それを鳴らしている人たちを、できるだけ書き留めておきたい。数年後に振り返ったとき、「あの頃、確かにここで起きていた」と言えるように。

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エッセイ | ESSAY

夜は、昼とつながっている

道草ミュージック編集部街の歩き方

い夜は、たいてい昼から始まっている。レコ屋で一枚を掘り、スケートで街を流し、馴染みの店で一杯やる。クラブのフロアは、その日常の延長線上にある“非日常”だ。

だからこのガイドは、箱だけでなく、街のカルチャーごと一望できる場所にしたかった。古着屋の店主がDJだったり、ピザ屋でポップアップ・パーティーがあったり、カーショップの名前がレゲエやヒップホップから取られていたり——この街では、音楽が生活のあちこちに溶けている。

フロアの外側にも、ちゃんとシーンは続いている。

店が一軒できて、一軒消えて、また新しいパーティーが生まれる。盛岡の夜は、誰かが回し、誰かが踊り、誰かが記録することで続いてきた。その小さなバトンを、次の世代へ。あなたが今夜踏み出す一歩も、きっとこの街のシーンの一部になる。

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用語集 | GLOSSARY

夜の言葉、少しだけ

道草ミュージック編集部はじめての人へ

ロアには、フロアの言葉がある。意味が分かると、フライヤーも会話も、ぐっと立体的になる。難しいものじゃない。よく出てくるものだけ、ここに並べておく。

1ドリンク制1 Drink
入場料(チャージ)に飲み物が1杯付く仕組み。「¥2,000 / 1D」なら、2,000円に1ドリンク込み、という意味。
セレクターSelector
主にレゲエで、その場にかける曲を選んで鳴らす人。DJと近いが、「選盤」と場の流れを作ることそのものを指すニュアンスが強い。
ロングセット / オールナイトロングLong set
一人のDJが長時間ぶっ通しで回すこと。短い持ち時間では作れない、ゆっくりした展開とピークを味わえる。
B2BBack to back
2人以上のDJが交互に曲をつないでいくスタイル。selectのセンスがぶつかり合い、予想外の流れが生まれる。
サウンドシステムSound system
低音重視に組み上げた専用の音響一式。レゲエ文化の核で、「どの箱の音か」が一晩の体験を左右する。
レジデントResident
その箱/パーティーに定期的に立つ“ホーム”のDJ。ゲストとは別に、場の色を作り続ける存在。
言葉が分かると、知らない夜も少しだけ親しくなる。
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カルチャー | CULTURE

サウンドシステムという文化

道草ミュージック編集部低音の話
レゲエ・オールディーズの空間 STEADY
cratesの姉妹空間 STEADY。レゲエとオールディーズが流れる夜がある。

きい音が良い音、とは限らない。けれどレゲエの世界では、「どう鳴らすか」そのものが文化として大切にされてきた。スピーカーを積み上げ、低音をたっぷり、しかし耳に痛くなく届ける——その思想が「サウンドシステム」だ。

ベースが空気を押してくる感覚は、イヤホンでは絶対に再現できない。身体の内側で低音が共振して、知らないうちに揺れている。レゲエやダブの夜が一度ハマると抜けられないのは、たぶんこの“体で聴く”体験のせいだ。

低音は、耳より先に身体で聴く。

盛岡にも、その流儀を受け継ぐセレクターたちがいる。派手な新曲よりも、長く愛される一曲を、いちばん気持ちいい音量とタイミングで。クラブの大音量とはまた違う、ゆっくり効いてくる夜が、この街にはある。はじめてなら、まずは身体を預けてみてほしい。

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コラム | COLUMN

今夜、外に出る理由

道草ミュージック編集部むすびに
クラブの入口
扉の向こうに、画面の外側の夜がある。

マホで何でも聴ける時代に、わざわざ街へ出て、知らない誰かと同じ音で揺れる意味。それはたぶん、画面の外側でしか起こらないことが、確かにあるからだ。

あのサウンドシステムで、あの照明の下で、隣で踊る誰かと聴く一回は、二度と同じ形では戻ってこない。良いセットの途中で目が合って、知らない人と笑い合う——そういう瞬間は、再生ボタンの内側には無い。

この街の夜を面白くするのは、結局のところ、足を運ぶ一人ひとり。

店が一軒できて、一軒消えて、また新しいパーティーが生まれる。盛岡の夜は、誰かが回し、誰かが踊り、誰かが記録することで続いてきた。その小さなバトンを、次の世代へ。次にフロアを沸かせる主役は、もしかしたら、これを読んでいるあなたかもしれない。

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今夜、どこへ行く?

読んだら、あとは扉を開けるだけ。今月のパーティーとカレンダーはトップページに。

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